今シーズン、ドイツブンデスリーガ、ハノーファーから日本代表のDF酒井宏樹が加入したこともあってリーグ・アンの中で一番チェックしていたのがオリンピック・マルセイユでした。
新オーナーと新監督の元で改革スタート
昨シーズンは13位と低迷し、財政難にも陥っていたマルセイユは多くの主力選手が抜けて今シーズンは厳しい年になると誰もが予想していました。
ところがところが10月にようやくチームの売却がまとまり、新オーナーに元ロサンゼルス・ドジャースオーナーでアメリカ人実業家フランク・マコート氏、会長にフランス人実業家のジャック=アンリ・エイロー氏、そしてかつてリールやイタリア、セリエAのローマで指揮を振るった名称リュディ・ガルシアが監督に就任したことで劇的に状況が変わりました。
新オーナー、マコート氏とガルシア監督が初めて会った時に、ガルシア監督は「チャンピオンズリーグで勝ちたい」と言ったらしいのですが、リーグ優勝そしてチャンピオンズリーグ優勝へ向むけて強いマルセイユを再び取り戻すために掲げた『チャンピオン・プロジェクト』がここでスタートしたわけです。
タイミングが良かった酒井宏樹の入団と監督から得た信頼
マルセイユサポーターの信頼も得た!(@hiroki.sakai_19 instagramより)
ブンデスリーガのハノーファーが2部落ちし、行き先を探していた酒井宏樹ががまだ財政難だった頃の昨夏の移籍でマルセイユに入団したのは本当にタイミングが良かったと思います。新体制でお金がたくさん使えるようになった今だったらリストには乗らなかったでしょうからね。
そして新監督との相性が良かったものラッキーでした。監督の意図を良く理解し実践できる選手だったからこそ、GKのヨアン・プレについでフィールドプレイヤーでは出場時間最多となるほどまでに信頼されました。
以前RMC Sportのサイトで「彼は勤勉で非常にプロフェッショナルな選手なのでチームに良い影響を与えている」というような記事があったんですけど、相当な勉強と努力をしているんだろうなと思います。フィジカル能力が高い選手が多いフランスサッカーはどちらかというと日本人選手には苦手なんじゃないかと思うのですが、試合を重ねるごとにどんどん守備の対応が良くなり、終盤はGKのヨアン・プレ含め酒井らDF陣の守備が本当に安定していました。
エブラやパイエ、結果が出た冬の移籍市場での補強
攻撃の面では冬の移籍でモンペリエからモルガン・サンソン、セリエA、ユベントスからパトリス・エブラ、そしてかなり論争を巻き起こしましたがプレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドからディミトリ・パイエが入ったのが大きかったです。それまではほぼ酒井のいる右サイドからの攻撃一辺倒だったのが、左サイドのエブラからも攻撃を仕掛けることができるようになり、さらに驚異的なFK精度を持つパイエという強力な武器が加わり攻撃に変化をもたらしました。そしてリーグ・アンのアシスト王に輝いたサンソンの働きも大きかったです。(アシストの記録はモンペリエ在籍時のものも含まれます。)
その他にもシーズン初めから主力選手としてプレーし右サイドで酒井と良いコンビネーションを見せたフロリアン・トヴァン、まだ19歳ながら豊富な運動量とテクニックを持つマキシム・ロペスの成長、天性のストライカー、ベテランのバフェティンビ・ゴミスの活躍も忘れてはいけません。
シーズン初めは空席が目立っていたスタッド・ヴェロドロームもチームの状態が上がってくるのと同時にお客さんも戻ってきました。(@hiroki.sakai_19 instagramより)
豊富な資金を得たマルセイユは今夏の移籍市場では大物選手の獲得を目論んでいるはずです。そのため、酒井宏樹をはじめ今シーズン活躍した選手も安泰とはいきません。でもクラブとしては今年以上に面白い試合を見せてくれるのは間違い無いでしょう。